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エレクトロニクスの教員

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石黒 仁揮

石黒 仁揮 教授

Hiroki ISHIKURO | いしくろ ひろき

研究キーワード:

超低電力インターフェース回路 / 高速無線通信 / 無線電力伝送 / 再構成可能アナログ回路

  • 教員プロフィール
  • 役職 : 教授
  • 居室 : 24-406
  • 電話 : 045-566-1815 ( 内線 42255 )
  • email :
  • 研究室 URL : http://www.iskr.elec.keio.ac.jp

[ 担当講義課目 ]
デジタル・アナログ回路(学部2年) / 総合教育セミナー(学部1,2年) / 制御工学(学部3年) / 電気電子工学実験(学部3年) / システムLSI設計(大学院)

[ 研究の概要 ]

将来,毎年1兆個の超小型センサーデバイスが流通し,環境からセンシングされた情報を様々なサービスに生かせる社会”Trillion Sensors Universe”が来ると考えられている.その実現のためには,外界の情報をセンシングするための超小型端末,とくにインターフェース回路が極めて重要な役割を果たす.本研究室では,小型の環境発電素子で駆動できるようなナノワットで動作するインターフェース回路の研究を行っている.また,バッテリを搭載できないような小型システム向けに無線でデータおよび電力を伝送するための回路,システムの研究を行っている.

研究の背景

近年,”ビッグデータ”,”クラウドコンピューティング”というキーワードのもとに,様々な分野で大量のデータから価値のある情報を抽出する試みがなされている.現状は,例えばPCやスマートフォンが情報収集端末の役割を担い,検索エンジン等で人が入力したデータを収集しているが,将来,さらに小型のセンサー端末が実用化されると,自然界や人間の活動に関する,これまでとは桁違いに大量の信号を人の手の介在なく収集することが可能となる.これらのデータを活用することで,新たなサービスが生まれると期待される.ただし,その実現のためには,センサー端末の中で太陽電池や振動発電といった環境発電素子を使って動作する,超小型,極低消費電力のインターフェース回路の実現が鍵を握る.

研究テーマと成果

本研究室では,小型の環境発電素子で駆動できるような,0.1mm程度の小サイズ,0.5Vの低い電源電圧,ナノワットレベルの極低消費電力で動作するインターフェース回路の研究を進めている.CMOS集積回路製造技術の進歩により,ナノスケールまでトランジスタの微細化が進んでおり,回路の低電力化に寄与しているが,一方で特性のバラツキが非常に大きくなってきており,特に低電圧動作時におけるアナログ回路の精度を保障することが極めて困難になってきている.これらのバラツキをデジタル的に自動補正する技術等を新たに開発することで,微細素子で回路を構成し0.5Vといった極低電圧で動作させた場合でも精度を保障する研究を進めている.研究成果の一例として,電源電圧0.4V,560ピコワットという極めて微小な消費電力で動作するアナログ・デジタル変換器を実現済みである(図1参照).理論的な熱雑音限界に近づく世界トップレベルの電力効率で動作するアナログ・デジタル変換器であり,1mm角程度の超小型太陽電池での駆動が可能である.
また,外界の信号をセンシングするためのインターフェースのみならず,データおよび電力の無線伝送の技術も非常に重要となる.本研究室ではバッテリを搭載できない超小型システムに無線で電力とデータを伝送する技術の研究も進めている.バッテリを搭載できないため,送電対象システムの負荷電力に合わせて,高速に給電量を制御する必要がある.研究成果の一例として,次世代の大容量小型メモリカード用途に使用できる,高速給電システムおよびそのトランシーバチップを開発した(図2参照).
電源電圧0.4V, 消費電力560pWで動作するアナログ・デジタル変換器(40nm-CMOSプロセス)

図1 電源電圧0.4V, 消費電力560pWで動作するアナログ・デジタル変換器(40nm-CMOSプロセス)

バッテリレス大容量メモリカード向けワイヤレス給電システムと電力伝送チップ(180nm-高耐圧CMOSプロセス)図2 バッテリレス大容量メモリカード向けワイヤレス給電システムと電力伝送チップ(180nm-高耐圧CMOSプロセス)