キヤノン株式会社

対談「産官と学」2013年10月 キヤノン株式会社本社

大学の研究室に所属していた時に,自分の研究を右往左往しながらやっていました.
その経験が今の仕事に生きていると思います.

製品設計は新しい物を作る仕事 - 何よりも自分で考える力が必要 -

野田 : 入社されて何年目になりますか.

塩崎 : 8年目になります.2006年に修士を修了後に入社しています.

野田 : では,後輩の方を色々と指導する立場になっているのですね.

塩崎 : はい,そうですね.小さいグループのグループリーダーのようなものです.

野田 : 例えば,後輩の方を指導される立場になられて,一番気にかけていることや,最近の大学の新卒を見て,こうあって欲しいと思うことはありますか

塩崎 : 後輩に対しては,自分で考えて仕事できるようになることを目標にして欲しいと思っています.困った時にも極力答えを与えません.やはり,製品設計は新しい物を作る仕事ですので,何よりも自分で考える力が必要だと思います.そういう意味でも,新入社員の方には,自分で新しいものを考えて形にしていく力を求めます.

野田 : ( 逆説的な質問ですが ) 塩崎さんは大学時代にそういう力を身につけることは可能だと思いますか.

塩崎 : 私は大学の研究室に所属していた時に,自分の研究を右往左往しながらやっていました.その経験が今の仕事に活きていると思います.やはり大学の研究は,本当の意味で,自分で進めて行くしかありませんから.社会に出ても,大学の研究で経験したことの延長が多いと思います.

野田 : そうですね,答えの無いものばかりですからね.大学や大学院で研究をしっかり行うというのは,自分で物事を考える力の習得につながりますね.

今一番欲しいのは勉強時間
時間のある大学時代にしっかりと勉強しておくことが必要

野田 : 研究の話が出ましたが,授業に関して質問させてください.今振り返ってみて,この授業が役に立ったというもの,その逆に今一つだったというものはありますか.あるいは,この授業は一生懸命勉強していればよかった,というのでも結構です.

塩崎 : 自分が結構幅広い分野の設計を行っているので,挙げると切りが無いのですが,設計業務に直接関わる事としては,回路の基礎理論は勿論のこと,アナログデジタル回路の知識も必須になります.それ以外にも,デバイスや部品の選定も私の仕事です.部品は半導体ですので半導体の物性理論などを理解してないといけません.そういった意味では,電気系の授業の大半は必要ではないかと思います.

(司会) 大学であえて勉強しなくても,会社に入ってからインターネットで情報を取ってくれば,まあ良いではないかという考え方も,一部には,無いこともないのですが,実務をご経験されて,実際にはいかがですか.

塩崎 : 正直な所としては,仕事をしていると,なかなか時間が取れないですよね.今一番欲しいのは勉強時間です.時間のある大学時代にしっかりと勉強しておくことが必要だと思います. もちろん,社会に出てから勉強しても間に合わない事もないと思うのですが,折角電気系の学問を大学で習得できるのですから,そこはしっかりとマスターした上で,社会に出てからは,むしろもっと違う分野を吸収していった方が良いと思います.

野田 : そうですね,学生時代は,時間は十分ありますからね.しかしその一方で,何から手を付けていいかがわからないという学生もいると思いますので,早いうちにどのような勉強をすれば,将来どのように役に立つというのが分かれば,若いからパワーはありますし,一生懸命勉強するきっかけになると思います.そういう意味では,今お話しいただいた内容は学生に対して良いメッセージが含まれているのではないかと思います.ありがとうございます.

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